開催日:令和8年8月2日(日)
テーマ:配膳の基本と郷土料理・武蔵野うどんづくり
第2回の和食文化親子教室では、毎日の食卓につながる「和食の配膳」について学んだあと、地域に伝わる食文化へと目を向けました。
日本各地の郷土料理について知り、最後は埼玉・武蔵野地域で受け継がれてきた「武蔵野うどん」づくりに挑戦。
知る・考える・作るを親子で体験しながら、身近な食卓から地域の食文化へと学びを広げる一日となりました。
和食の基本「一汁三菜」と配膳を学ぼう
まずは、和食の基本である「一汁三菜」と配膳について学びました。
一汁三菜とは、ご飯などの主食に、汁物、主菜、副菜を組み合わせる、日本の食事の基本的な形です。さまざまな食材を取り入れることで、自然と栄養のバランスが整いやすくなる、昔から受け継がれてきた和食の知恵でもあります。
そして、和食の配膳には基本となる位置があります。
ご飯は左手前、汁物は右手前、主菜や副菜はその奥へ。
なぜ、この位置なのでしょう。
食器を持ちやすくしたり、おかずを取りやすくしたりと、そこには食べる人が気持ちよく食事をするための工夫があります。
基本を学んだあとは、本物の食器を使って、一人ひとり配膳に挑戦しました。
保護者の方からは、
「普段はワンプレートにすることが多く、配膳について考えることはあまりありませんでした」
という声も。
毎日の食卓だからこそ、改めて向き合ってみると、大人にとっても新しい気づきがあります。


「こんなとき、どうする?」和食の作法を考えよう
続いてワークシートを使って、食事の際の所作や食器の扱いについて考えました。
「自分の手を受け皿にしてもいいの?」
「煮物の汁は飲んでもいいの?」
「汁物などのお椀の蓋は、裏返してもいいの?」
普段、何気なくしていることも、「どうして?」と考えてみると、和食の作法に込められた意味が見えてきます。
食事の作法は、形を覚えるだけのものではありません。
食器を大切に扱うことや、一緒に食事をする人への心遣いなど、食卓を気持ちよく囲むための知恵にもつながっています。
子どもたちからも「これからは配膳を少し意識してみたい」という声が聞かれ、親子で日々の食卓を見つめ直す時間となりました。
日本各地に伝わる「郷土料理」
次のテーマは「郷土料理」です。
日本は南北に長く、地域によって気候や風土、そこで採れる食材も異なります。
冷蔵庫などがなかった時代には、身近にある食材をおいしく食べ、長く保存するためにさまざまな工夫が生まれました。
その土地の自然や産業、人々の暮らしの中から生まれ、世代を超えて受け継がれてきた料理が「郷土料理」です。
北海道から沖縄まで、日本にはその土地ならではの料理がたくさんあります。
関西の食文化を紹介した際には、
「どうして“きつねうどん”という名前なのでしょう?」
とクイズを出しました。
油揚げがきつねの好物とされてきたことに由来するという話に、子どもたちも興味津々です。
埼玉にはどんな食文化があるの?
続いて、自分たちが暮らす埼玉県へ。
行田市の郷土料理「ゼリーフライ」を紹介し、
「ゼリーフライには、ゼリーが入っているでしょうか?」
と尋ねると、名前からいろいろな料理を想像する子どもたち。
実はゼリーは入っていません。そのユニークな名前の由来についても楽しく学びました。
そして埼玉県は、昔から小麦を使った食文化が盛んな地域です。
米だけでなく、小麦を使ったさまざまな料理が暮らしの中で受け継がれてきました。その代表的なものの一つが「うどん」です。
ここから、今回実際に作る「武蔵野うどん」へと話をつなげていきました。
飯能の歴史にも触れてみよう
さらに、自分たちが暮らす飯能についても学びました。
飯能はかつて「西川材」と呼ばれる良質な木材の産地として栄えた地域です。山から切り出された木材は筏に組まれ、川を利用して江戸・東京方面へと運ばれていました。
そこで子どもたちに、
「飯能名物で、“筏”にちなんだ名前のうどんは何でしょう?」
とクイズを出してみました。
ところが、なかなか「筏」という言葉が出てきません。
今の子どもたちにとっては、「筏」そのものを見る機会が少なく、少し馴染みのないものになっているようです。そんな子どもたちの様子に、保護者の皆さんからも思わず笑みがこぼれました。
食文化をたどっていくと、その土地の自然や産業、昔の人々の暮らしにもつながっていきます。
北海道から沖縄へ、そして埼玉、飯能へ。
地域によって異なる食文化が育まれてきたことを知ったところで、いよいよ「武蔵野うどん」づくりです。
地粉にこだわって「武蔵野うどん」を作ろう!
今回、武蔵野うどんづくりを教えてくださったのは、「飯能すいーとん」の開発にも携わった武末さんです。
スタッフが特にこだわったのは、使用する「小麦粉」。
地域の食文化を学ぶからこそ、できるだけ地域で育ったものを使いたい。
そんな思いから、武蔵野地域で収穫され、地域で製粉された「地粉」を用意しました。
まず子どもたちが驚いたのは、うどんの材料です。
小麦粉・塩・水。
基本の材料は、たった3つ。
「うどんって、これだけでできるの?」
と、子どもたちの目が輝きます。
講師によるデモンストレーションを見たあとは、いよいよ親子で実践です。今回は、一人2人前のうどんづくりに挑戦しました。
こねて、踏んで、親子で力を合わせます
粉に塩水を加え、しっかりとこねていきます。
うどんの生地をこねるには、思った以上に力が必要です。
中には椅子の上に立ち、全身の力を使って一生懸命こねる子も。保護者の方はボウルが動かないようにしっかりと押さえます。
親子で力を合わせる姿は、まさに親子教室ならではの光景です。
続いては、生地を足で踏む工程へ。
普段の料理では、食べ物を足で踏むことなどほとんどありません。
「本当に踏んでいいの?」
そんな驚きも、いつの間にか楽しさに変わり、子どもたちは何度も生地を踏んでいました。




前回作った「自分のお箸」も登場
生地を20分ほど寝かせている間には、第1回の親子教室で自分たちが作ったお箸を使って、「お箸の上げ下げ」の練習も行いました。
前回作ったお箸が、第2回の学びにも登場します。
一回ごとの体験で終わるのではなく、前回の学びが次の学びへとつながっていくことも、連続講座ならではの楽しさです。
長い麺棒で、うどんを伸ばそう
生地を寝かせたあとは、「伸ばす」作業です。
使うのは、昔ながらの約80cmもある長い麺棒。
生地を薄く、均一に伸ばしていきますが、これが想像以上に難しい!
きれいな四角形にならなかったり、薄いところと厚いところができたり。
「難しい!」
と言いながらも、親子で相談しながら一生懸命伸ばしていきました。
伸ばした生地は屏風畳みにし、いよいよ包丁で切ります。
細い麺、太い麺、中には「ひもかわ」のような立派な幅の麺も。
同じ材料から作っても、一人ひとり違ううどんが出来上がります。それも手づくりならではの楽しさです。
今回使用した地粉は、真っ白な小麦粉とは少し違い、素朴な色合いと小麦の風味が感じられる粉です。
地域で育った小麦が、子どもたちの手によって「うどん」へと姿を変えていきました。
「私の夢は、おうどん屋さん!」
そして今回、スタッフの心に残ったひとことがありました。
参加した女の子が、キラキラした目で話してくれました。
「私の夢は、おうどん屋さんになることなの。だから今日はとっても楽しみ!」
地域の食文化を学ぶために企画したうどんづくり。
けれど、こうした体験が一人の子どもの夢や、「食べること」「作ること」への興味にもつながっていることを感じ、とても嬉しい瞬間となりました。
今回は茹で時間や調理設備の都合から、うどんを切るところまで。完成した麺は各家庭へ持ち帰り、それぞれのお家で茹でて味わっていただきました。
地域で育った小麦を使い、親子でこね、踏み、伸ばし、切る。
そして、その背景にある地域の自然や産業、人々の暮らしを知る。
自分たちが暮らす地域の食文化を、知識だけではなく、自分の手と身体を使って体験することで、「武蔵野うどん」がぐっと身近なものになったのではないでしょうか。
これからも飯能支部では、子どもたちの笑顔を大切にしながら、地域の暮らしに息づく和食文化を親子で楽しく学び、次の世代へつないでいきたいと思います。


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