暦の上では秋、でも残暑はこれから
今日は立秋。暦の上では秋の始まりを告げる日ですが、実際にはこれからが残暑の本番となりそうです。
多くの方が旧盆の帰省を予定されているこの時期、長時間の移動が予想されます。
車内での水分補給を忘れずに、熱中症などに十分注意してお過ごしください。
お盆の由来と意味を知る
「盂蘭盆会」という正式名称
私たちが親しんでいる「お盆」の正式名称は「盂蘭盆会（うらぼんえ）」といいます。
この言葉の語源は、サンスクリット語の「ウラバンナ（ullambana）」にあるとされており、「逆さにつるす」「非常に苦痛」という意味を持っています。
この名前の由来には深い意味があります。
お盆とは、先祖や亡くなった方々が苦痛を受けることなく安らかに過ごせるよう供養し、同時に私たちが先祖への感謝の気持ちを新たにする大切な期間なのです。
なぜ7月盆と8月盆があるのか
「新盆」と呼ばれる7月盆と、「旧盆」と呼ばれる8月盆。
なぜ二つの時期にお盆があるのでしょうか。
その答えは明治時代の改暦にあります。
従来、お盆は旧暦（太陰太陽暦）の7月15日頃に行われていました。
しかし明治政府が新暦（太陽暦）を採用した際、新暦の7月15日頃は農村部では農繁期と重なってしまいます。
そこで農村部では1ヶ月遅らせて8月15日に、都市部では従来通り7月15日にお盆を行うようになりました。
現在では全国的に8月15日の旧盆が主流となっており、多くの企業もこの時期に合わせて夏季休暇を設定しています。
精霊馬・精霊牛に込められた想い
先祖の魂を迎える乗り物
お盆の風物詩として親しまれている精霊馬・精霊牛をご存知でしょうか。
これは、きゅうりやなすに割り箸などで足をつけて作る、先祖の魂が現世と霊界を往来するための乗り物をイメージしたものです。
きゅうりで作る馬には「足の早い馬に乗って、一刻も早く家に帰ってきてください」という想いが、なすで作る牛には「足の遅い牛に乗って、ゆっくりと霊界へお帰りください」という想いが込められています。
迎える時は急いで、お見送りする時はゆっくりと。この心遣いに日本人らしい優しさを感じます。
現代に受け継がれる伝統
最近では、InstagramなどのSNSで精霊馬・精霊牛のアレンジ作品が多数投稿され、若い世代にも親しまれています。きゅうりとなすが一般的ですが、地域によっては「今年も豊かに作物が実りました」という感謝の気持ちを込めて、収穫したばかりの地元野菜を使う場合もあります。
沖縄では、バナナやサトウキビを使って精霊馬・精霊牛を作る地域もあるそうです。
土地の文化と融合しながら、各地で独自の発展を見せているのも興味深い点です。
次世代へ伝えたい文化
お盆は単なる夏の行事ではありません。
日本人が長い間大切に受け継いできた、先祖への感謝と敬意を表す文化的な営みです。
現代の忙しい生活の中でも、この美しい伝統と、そこに込められた先祖への想いを子どもたちにしっかりと伝えていきたいものです。
今年のお盆も、家族が集い、先祖に想いを馳せる貴重な時間となることでしょう。
安全に気をつけて、充実したお盆休みをお過ごしください。
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