寒の時期と発酵の知恵

本日、1月17日は冬土用の入り
立春を目前に控え、季節が次へと移ろうとする、静かな節目の日です。

冬土用は、一年で最も寒さが厳しくなる「寒(かん)」の時期と重なります。
自然の動きがゆっくりと静まり、人の暮らしもまた、外へ向かう力より内側を調えることが大切になる頃。

昔の人々は、この時期を無理に動かず、身体と心を整えるための時間として大切にしてきました。

目次

冬土用と「寒」が重なる意味

土用とは、季節が切り替わる前の調整期間。
冬土用は、春を迎える前の最後の土用であり、一年の締めくくりともいえる時期です。

寒の真っただ中にあたるこの頃は、冷えや疲れがたまりやすく、滋養のある食事や温かな汁物が、日々の暮らしを支えてきました。
和食において、味噌汁や煮物が冬の食卓に欠かせない存在であることも、こうした季節の知恵と深く結びついています。

寒の時期と発酵 ― ゆっくり育てるという知恵

寒の時期は、発酵にとって最も安定した環境が整う季節です。
気温が低く、雑菌の繁殖が抑えられるため、味噌や醤油などの発酵食品は、ゆっくりと、確実に熟成が進みます。

そのため味噌づくりは、古くから「寒仕込みが良い」とされ、冬の大切な手仕事として受け継がれてきました。
寒さの中で仕込まれた味噌は、春から夏へと季節の移ろいとともに育ち、時間を味方につけながら、まろやかな味わいへと変化していきます。

冬土用は「待つこと」を学ぶ季節

冬土用は、新しいことを始めるよりも、今ある暮らしを見直し、整えるための期間です。

・温かい味噌汁を丁寧に味わう
・発酵食品を日々の食卓に取り入れる
・無理をせず、よく休む

そうした小さな心がけが、春を健やかに迎える準備となります。

和食文化が伝える、季節との向き合い方

和食文化は、自然を急かすことなく、季節の流れに身を委ね、待ち、育てることを大切にしてきました。

冬土用の入りの日に、発酵の知恵にあらためて目を向けることは、日本の食文化を静かに見つめ直すひとときでもあります。

立春を迎えるその日まで、この冬土用を、発酵とともに丁寧に過ごしてみてはいかがでしょうか。

横浜市在住 平沼 芳彩

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この記事を書いた人

平沼 芳彩のアバター 平沼 芳彩 箸文化研究家・礼法講師・和食文化継承リーダー

お箸は、自然の恵みを私たちの心と身体へと橋渡しする、命をつなぐ大切な道具です。

そして和食は、
四季の移ろいとともに自然を敬い、
感謝し、分かち合う日本人の暮らしそのもの。

一椀の味噌汁、一膳のごはん。
日々の食卓に宿る祈りや願いを、
次の世代へと手渡していくこと。
それが私の大切にしている志です。

歳時記や二十四節気をひもときながら、和食に込められた意味や所作、箸にまつわる知恵を、子どもから大人までわかりやすくお伝えしています。
発酵文化や年中行事、箸文化を通して、日本の暮らしに息づく美意識と心を未来へつなぐ活動を続けています。

2018年「かながわシニアビジネスグランプリ」ベストプラン賞受賞。
NPO法人みんなのお箸プロジェクト副理事長として、7,000人を超える子どもや保育者への指導を行う。
『発達に合わせて伝える 子どものための食事マナー』監修。
NHK Eテレ、フジテレビ、ラジオなどメディア出演多数。新聞・雑誌・Web掲載。

一膳の箸から始まる、和食文化の継承。
日々の食卓を、未来への贈り物に。

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