啓蟄の目覚めの食材

目次

春の苦味と、白い潤い

啓蟄を迎える頃になると、空気の匂いが少し変わる気がします。
朝の光がやわらぎ、土の下では小さな命が動き始める。
それと同じように、私たちの体も、そろそろ目覚めの準備をしているのかもしれません。


春は、まず苦味から

「春は苦味を盛れ」といわれます。
ふきのとうや菜の花を見ると、ああ、春が来たのだなと思います。

あのほろ苦さは、子どもの頃は少し苦手でした。
けれど大人になると、不思議と
「あ、この味だ」と体が喜ぶようになります。

冬のあいだ内にこもっていたものを、そっと外へ促してくれるような味。

春の苦味は、体のスイッチを入れてくれる合図のようです。


そして、白いもの

とはいえ、春は風が強く、乾燥の季節。
花粉症に悩まされる方も多い頃です。

そんなときは、白い食材を意識します。
豆腐、白菜、白きくらげ、豆乳。

体に潤いを補い、粘膜のバリア機能を助けてくれるといわれています。
巡らせながら、潤す。
春の養生は、その両方が大切なのですね。


私の小さな花粉対策

春の花粉対策のひとつとして、私がよく作るのが豆乳リゾットです。

春は風が強く、乾燥もしやすい季節。
そんな時期は、体の潤いを意識して、豆乳や白菜を取り入れるようにしています。
粘膜を守る食材を、日々のごはんでそっと重ねる。
それが私なりの、小さな花粉対策です。

舞茸、しめじ、ぶなしめじ、エリンギを、食べやすく切って冷凍しています。
冷凍しておくと旨味が増すともいわれ、忙しい日でもすぐに使えて重宝しています。

エリンギは食物繊維が豊富といわれ、この季節には特に意識して取り入れたいきのこのひとつ。
しっかりとした歯ごたえも心地よく、春のぼんやりしがちな体に、
小さな活力を添えてくれるように感じています。

ひとりランチのときは、このきのこをオリーブオイルで軽く炒め、
温かいご飯と豆乳を加えて、くつくつと。

白菜を加えて味噌仕立てにしたり、
少しチーズでコクを出したり、
ときにはトマトベースにすることも。

冷蔵庫と相談しながら作る、気負わない一皿。

それでも食べ終わる頃には、体の奥がほっとゆるむのを感じます。

春は、やさしく整える季節

苦味で目を覚まし、白いもので潤す。

どちらも、無理をするのではなく、少し意識するだけでいいと思います。

啓蟄の頃。
自然が目覚めるように、私たちも、急がず、やわらかく。
春の食材に背中を押してもらいながら、季節をひと口ずついただいていきたいものです。

今日のお昼は、
少し春を意識してみませんか。

横浜市在住 平沼 芳彩

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

平沼 芳彩のアバター 平沼 芳彩 箸文化研究家・礼法講師・和食文化継承リーダー

お箸は、自然の恵みを私たちの心と身体へと橋渡しする、命をつなぐ大切な道具です。

そして和食は、
四季の移ろいとともに自然を敬い、
感謝し、分かち合う日本人の暮らしそのもの。

一椀の味噌汁、一膳のごはん。
日々の食卓に宿る祈りや願いを、
次の世代へと手渡していくこと。
それが私の大切にしている志です。

歳時記や二十四節気をひもときながら、和食に込められた意味や所作、箸にまつわる知恵を、子どもから大人までわかりやすくお伝えしています。
発酵文化や年中行事、箸文化を通して、日本の暮らしに息づく美意識と心を未来へつなぐ活動を続けています。

2018年「かながわシニアビジネスグランプリ」ベストプラン賞受賞。
NPO法人みんなのお箸プロジェクト副理事長として、7,000人を超える子どもや保育者への指導を行う。
『発達に合わせて伝える 子どものための食事マナー』監修。
NHK Eテレ、フジテレビ、ラジオなどメディア出演多数。新聞・雑誌・Web掲載。

一膳の箸から始まる、和食文化の継承。
日々の食卓を、未来への贈り物に。

コメント

コメントする

目次