お盆と須古すし〜佐賀の夏の味〜

立秋を過ぎたとはいえ、まだまだ厳しい暑さが続く8月。
各地でお盆の準備が始まるこの時期、私の住む佐賀県では、食卓に特別な一品が並び始めます。

目次

「お盆といえば須古すし」の風

佐賀県須古地区には、「お盆といえば須古すし」と言われるほど根深い食文化があります。
この郷土寿司は、酢飯に旬の野菜や魚介類を混ぜ込んだシンプルながらも奥深い料理。
一見すると普通のちらし寿司のようですが、その背景には先人たちの知恵がぎっしりと込められているのです。

使われる魚介類は家庭ごとに異なり、その時々の旬や手に入るものによって変わります。
一般的にはエビやアナゴ、小魚などが使われますが、佐賀らしい特色として、有明海で獲れるムツゴロウを使うご家庭もあります。
この干潟の恵みが加わることで、須古すしは他にはない独特の風味と地域性を持つ料理となっているのです。

酢の力で保存性を高め、暑い夏でも安心して食べられる。
栄養豊富な旬の食材を使うことで、疲れやすい時期の体を労わる。
そして何より、家族が集うお盆の食卓を豊かに彩る―これらすべてが、須古すしという一品に込められています。

季節と共に生きる食の知恵

お盆は、私たちにとって先祖を偲び、家族の絆を確かめ合う大切な時間です。
そんな特別な日に須古すしを囲むとき、この料理に込められた意味の深さを改めて実感します。

季節の恵みを無駄なく活用し、保存の工夫を凝らし、何世代にもわたって受け継がれてきた味。
それぞれの家庭が持つレシピの違いや、その土地ならではの食材を取り入れる柔軟性こそが、この料理を生き続けさせてきた力なのでしょう。
それは単なる料理を超えて、私たちの心をつなぐ文化そのものなのです。

受け継がれる和食文化の豊かさ

この須古すしのような郷土料理に触れるたび、日本の和食文化の豊かさと、それを守り続けてきた人々の力を強く感じます。
一つひとつの料理に込められた物語、そこに宿る伝承の重み。
そして自然の恵みと向き合いながら育まれた多様性が、今もなお、私たちの暮らしに息づいているのです。

今年のお盆も、家族で須古すしを囲みながら、この美しい食文化を次の世代へと伝えていきたいと思います。


佐賀県在住 まゆみ

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